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【森岡毅】苦しかったときの話をしようか【マーケティング】


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今日は僕のマーケティングの神様、森岡毅さんの書籍を紹介したいと思います。

森岡毅さんといえば、言わずとしれたマーケティングのプロフェッショナルとして有名ですが、この本は就職に悩む娘さんに向けたアドバイスというか、手紙のような形式になっています。

今自分がキャリアを歩む上で何を指針とすれば良いのか。

悩む社会人全てに感動と勇気を与えてくれる森岡毅さんの言葉でもありました。

森岡毅さんの壮絶な仕事を垣間見れる本でもあり、仕事の厳しさ、生き残る術、そして楽しさを教えてくれる本でもありました。

明日からの仕事に活力を得たい、自分の方向性を発見したい人にぜひ読んで貰いたい本です!

結婚相手は会社ではなく職能

惚れ込んだ会社でも結婚相手にはならない、なぜなら会社とはあなたの達成したい意図とは全く無関係の利害によって成り立っているからだ。

その為、会社にとって都合の良い時に放り出されたり、会社の為に自分の意図とは全く無関係の仕事をしなくてはならない事もある。

自分の職能と結婚するべき理由としては、もっとも信頼性のある生存手段だからである。

会社は潰れるかもしれない、妻とは離婚するかもしれない、しかし自分の培った経験や能力はあなたが健康でおる限り常に共にあるものだ。

日々アップデートを怠らなければ、もっとも信頼のおける生き残る為の武器になるだろう。

そして、会社と結婚した場合使われる立場として過ごす事になるが、自分のスキルが社会に認められ、プロとしてやっていける様になれば、主導権はキミに渡る。

すなわちそれは、自分のスキルを伸ばす舞台を自らが選ぶ事ができるという事だ。

そのため、自由な働き方を選択する事もできる様になるし、主体性を持って仕事に取り掛かることができる様になる。

自分の理想の追求への近道にもなるし、納得感を持って仕事をこなす事ができる様になるだろう。

自分の強みを見つけよう

まずは自分のキャリアを創造していく目的を立ててみよう。

それは暫定的なもので構わない。

プランが変わっていってもいい、所々でアップデートしていく感じで大丈夫。

突貫的にでも目的を立てる理由としては、

  1. 納得性
  2. 一貫性

この2つの事から立てる価値があると考えている。

自分の人生を歩む上で選択を迫られた時、考えた上での選択をする方が、脊髄反射のように選択をしていくよりも、起こった結果に対して人生の納得感は高いハズだ。

一貫性があったほうが能力を高く積み上げる事ができる。

遅くなって人生の目的を見つけ、そこから積み上げるよりも、自分が考えた結果に対して積み上げを重ねる事で、いきあたりばったりの積み上げよりも近い場所での積み上げが貯金できる事は間違いないだろう。

そして、自分の強みとは何かを行った時に受ける社会からのポジティブなフィードバックの集積なのだ。

だから、自分が好きな事を動詞でたくさん書き出してみよう。

そうすることで、自分の得意な分野が見えてくる。

それがあなたを支えてくれる宝物になるハズだ。

これからは個のチカラを底上げしていかなければならない。

会社に最適化されるがままに利用されてはいけない。

日本の精神である、勤勉や忍耐は素晴らしいと思う。

だがこれからはただ耐え忍ぶ戦い方ではなく、戦略的に考えて精神的に戦う方法でなければならないだろう。

マイブランドを確立しよう

キャリアとは、自分をマーケティングする旅である。

それは、自分の理想の姿を実現する為に、その為の要素を最適化し、自分のブランドを積み上げて行く事である。

自分をブランディングする上で気をつけておかなければならない事がある。

それは「オフ・エクイティー」をしてしまわないようにする事である。

「オフ・エクイティー」とは、設計した自分のブランディング像から逸れた様な事をしてしまう事である。

それをやらかすと、今まで築き上げてきたブランドが一気に崩壊する。

このブランドを上手く築く事で、理想の自分へ近づきやすくなる。

それは、「正直者」なら対してものを言わなくても信じて貰いやすくなる等のボーナスが得られるからだ。

ブランドの設計図に沿った行動を一貫して取り続ける限り、あなたの理想へ向かうスピードがどんどん上がる事になるだろう。

苦しかった時の話をしようか

人はどんな時一番苦しいと感じるのだろうか?

働いて働いて死ぬほど忙しい時では決してない、それは自己評価が極端に低くなっているとき。

自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれたときだ。

自己肯定感が極限まで下がった時もあったが「きっとなんとかなる」という事も覚えておいて欲しい。

2004年にP&Gの世界本社に赴任する事になった。

しかしそこでのブランドマネージャーのポストはアメリカ人マーケターの取りたかったポストで、そこに「janglish」しか話せないよくわからない日本人がポンと飛びこんできたのだから、波紋は大きかった。

まず、私が参加した会議ではいつもより早口で難解な単語で話が進む。

イメージ的には、四字熟語をたっぷり入れ込みながら高速で会議をする様な感じだ。

しかし私はブランドマネージャーの責任感からわからないまま仕事を進める事は許されないという覚悟の元仕事をしていた為、いちいち「pardon?」と会議を切り、確認していた。

その為、ワタシのあだ名はめでたく「Mr.pardon」となったのだ。

そしてそこからもワタシを凹ませる出来事は続く。

ある日女性役員にブランドの今後進むべき指針について、話すための大事なミーティングがあった。

そこで発表する為に作り上げておいたパワーポイントの表紙がなんと「PLAY BOY」の表紙に変わっていたのだった。

そして、セールスの大物と衝突する事となる。

それは、ウォルマートでの商談の後の話だった。

部下や同僚達がこのセールスの大物にワタシの悪評を伝え、理不尽なまでの叱責を浴びる事となった。

その朝、布団から出られなくなった。

しかし、ここで会社でのお荷物となり幽霊マネージャーとして日本人が本社に評価される事になってしまえば、ワタシを送り出してくれた部下や上司、P&Gジャパンの信用を損なうこととなってしまう。

それは嫌だ!

今まで自分の中で大切にしてきた何かが壊れる気がした。二度と立ち上がれない気がした。

吹っ切れた私は、昨日の彼を上回るフロアに響き渡る音量で一気にかましてやったのだ!

「昨日は率直なフィードバックをありがとう! 私のプレゼンの悪いところは、必死に直して期待に沿うように全力を尽くすよ。しかし、何と言われても私は顧客との会議に行く。それが私のブランドマネージャーとしての使命だからだ。そして何よりも、あの戦略を実行すれば顧客も我々も売上を必ず大きく伸ばせる、この1点に関して、信念にかけて自信があるからだ。もし私が本当に邪魔なら、上と話して私の首をとってくれ。私はこの役割にいる限り、最後の1秒まで遠慮なく仕事をするから、そちらも遠慮はするな。私は必ず結果を出すぞ!」

礼儀正しい日本人と思われていた私は、その直後から極めてクレイジーで危ない奴だと見られるようになった。

どのように結果を出す為に心血注げば良いのか、それは今までもやって来たように自分の強みを知ってその強みで戦う事だ。

結果を出す人間であることをわからせれば、勝ち馬に乗るメリットが明確になるので、人々は私についてくるようになる。

そして、半年が過ぎた辺りから周りの評価が変わり徐々に社内での立ち位置が変わってきた。

余談だが、心の余裕が出来たワタシは少しばかりの復讐をした、それはミドルネームをウエサマという事にして、皆にそう呼ばせていた。

MoriokaもTsuyoshiも彼らには発音しにくく、私はマリアーキとかチュヤーシとか呼ばれることにずっと辟易していたのだ。

おかげで、同僚や部下ばかりか上司までなにも知らず上様と呼ぶようになった(笑)

そこから2年、なんとか結果を出し続けたワタシは昇進を果たし日本へ帰る事が決まった。

そこで、かのセールスの大物がくれたフェアウェル・メッセージが忘れられない。

「Uesama、最初の頃は君とは衝突してばかりだった。外からやってきていきなり、あれは違う、これも間違っている、こう変えよう、こうしなければならないと、それはもう毎日毎日……実にズケズケとモノを言う。日本人は礼儀正しくて謙虚と聞いていたのにこの男は一体なんだ? ここのビジネスを何十年も知り尽くした我々を、まるでバカだと言わんばかりのその強い態度に、私は我慢ならなかった……。しかしある日、私は驚いた。先週まで酷かった君の英語が突然、別人のように流暢に変わったからだ。なぜか君はいつも〝プレゼンのときだけ〟ポルトガル語なまりの英語になるんだ。Xさん(テープを吹き込んでくれた友人)独特の口癖までそっくりにコピーしてね。私もこの仕事が長いが、君のガッツには驚いた。君が、どれだけ本気で、どれほど粘り強い奴なのか、そのときによくわかったよ。君はダイレクトにモノを言いすぎる。前後の経緯や段取りなんて一切気にしない。でも、なぜだかもうわかっている。君は、誰よりもビジネスを伸ばすことにコミットしていて、そのことに誰よりも純粋で必死なだけだ。君は、誰も思いも及ばないことをあっという間に考えつくクセに、MITの教授のような軽妙さはこれっぽっちもない奴だ。猛牛だ! あるのは、ガッツと、泥臭さだ。だから手ごわい! そんな君だから、こんなエキサイティングな結果を出すことができたんだ!君がいなくなるとケンカする相手がいなくなって本当に寂しい。だからもう日本に帰るな。一旦帰っても、また戻ってこい! 今度は本当に大歓迎だ!」

今はフロリダで悠々自適な毎日を送る彼から、今年もUesama宛のクリスマスカードが届いた。お互いに実力を認めてはじめて友情も尊敬も通うようになる。

最後に

なんだか、自分の備忘録みたいな内容になってしまい、書きながらこれはヤバイなと思いながらも、削れる部分、自分の感想等を差し込む部分がなかなか見つからなかったので、このまま書き込んで行きました(汗)

ただ、自然とアイデアが湧き出る様なものではなく、結果を出す為に死にものぐるいで環境に適応しようとした結果、習得した職能なんだと思い、自分も甘えてる場合じゃない。

もっと自分を自立させる為に、森岡さんのように武士が決戦に行くような覚悟で毎日を過ごさねばならんなと思いました。

なかなかそこまで覚悟を決めなければならない場所へ身を置くのは大変ですが、自分なりの大変だなと感じる場面で森岡毅さんのこの話を思い出し、布団から出る為のエネルギーがちょっとこの本を読んで増えたような気がします。

マーケティングの内容の本が多かった印象だったので、このような自分の過去についても書かれた本はなかなか貴重だと思いました。

僕もこれからの時代を生き抜いていけるように強みを見つけ、それを活かし、社会を自由に歩いていけるよう、頑張りたいですね。